バウハウス最後の目撃者アクセル・ブロホイザーが設立したTECTA「カンチレバー・ミュージアム」
ドイツでヴァイマールやデッサウ、ベルリンなどバウハウス100周年に合わせて、その所縁のスポットを巡る旅も終盤。
内容が濃すぎて消化できていない部分が多いけれど、なんだかんだ憧れの「バウハウス・デッサウ校舎」などを観られたことはすごく嬉しい。
バウハウスを今に伝えるTECTA「カンチレバー・ミュージアム」
1919年に開校したバウハウスはナチス・ドイツの圧政によって1933年には閉校に追い込まれたので、たったの14年しか存在していないのだけど、バウハウスは今でも世界中に影響を与え続けている。
もちろんバウハウスのデザインそのものだったり、初代校長のヴァルター・グロピウスや三代目校長のミース・ファン・デル・ローエ、当時学生だったマルセル・ブロイヤーだったりの影響はあるけれど、それを継承していった人たちがいたからだと思う。
ドイツの家具メーカー・TECTA(テクタ)の創業者アクセル・ブロホイザーもその一人。
アクセル・ブロホイザーはバウハウス最後の目撃者とも言われていて、TECTAの本社にはバウハウスの偉業を今に伝えるためのミュージアムが併設されている。
今回はそのTECTA「カンチレバー・ミュージアム」を訪問。
ビジターセンターを訪れると、バウハウスらしい工業デザインや家具デザインのプロダクトで埋め尽くされていてこの時点で楽しい。
TECTA本社とミュージアムはアクセスが悪い辺鄙な所にあるけれど、その分自然が近い伸び伸びとした雰囲気の中にある。
工業デザインのようなミュージアムの建築
ミュージアムの建築は、何となくジャン・プルーヴェっぽいデザインだなぁと思ってたら、ブロホイザーはプルーヴェとも親交があったらしい。
設計者は違うけれどけれど、プルーヴェから「素材が何を考えているかを考えなさい」と教えられたブロホイザーは、バウハウスを受け継ぐかのような工業デザイン的な建築にしたようだ。
全面ガラスと鏡面仕上げの屋根に赤の構造部材がアクセントになっていておもしろい。
カンチレバー(片持ち構造)の家具を中心に貴重な家具が集結
東西冷戦時代の東ドイツ出身のブロホイザーが、バウハウス関連のパイプを使った家具のスケッチに惚れ込んで、当時西ドイツから社会主義体制下の東ドイツに解体した家具を運んで研究していたそうだ。
その結果1972年にTECTAを設立して、バウハウスの名作家具を次々と復刻することになった。
ジャン・プルーヴェから「素材が何を考えているかを考えなさい」と教えられたブロホイザーは、チューブ・アプラティと言う技術によってカンチレバーの椅子の製造に成功する。
その結果ミースの家具などのカンチレバーの椅子を実現することができたと言うことだ。
TECTAから製品化されたものやプロトタイプまで貴重なアイテムが展示されていた。
展示空間が連なるミュージアムはどこを観ても見応えがある。
ただ、辺鄙なところにあるので人が訪れることも少なくて、家具がちょっと寂しそうな状態になっているところも多い。
ヴァイマールやデッサウのバウハウス校舎の初代校長ヴァルター・グロピウスの部屋に使われているグロピウス自らデザインした家具。
ジャン・プルーヴェの家具もいっぱい。
思えばプルーヴェもバウハウスの影響を受けたモダニストかも知れない。
歴代の名作椅子から変わり種の椅子まで色々なものがいっぱい。
アクセル・ブロホイザーが設立したTECTA「カンチレバー・ミュージアム」には、その名前の通りバウハウスに関係するカンチレバー(片持ち)の名作椅子の数々やそのプロトタイプが展示されていて椅子好きには堪らないミュージアムだった。
ここまでのバウハウス100周年でドイツを巡る旅は、すごく印象深いものだった。
TECTA Kragstuhlmuseum – テクタ・カンチレバー・ミュージアム
開館時間:10:00~12:00/14:00~17:00(土曜日10:00~14:00)
休館日:日〜水曜日
URL : https://www.tecta.de/kragstuhlmuseum/
住所:Sohnreystraße 8, 37697 Lauenförde, Germany
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