オランダ・ロッテルダムにあるレム・コールハース率いるOMAによる「クンストハル」を訪ねる。
バウハウス100周年と言うことでドイツのバウハウス関連のスポットを回った後、フランクフルトからバスでオランダ、ロッテルダムへ。
4年振り到着したロッテルダムは相変わらずカッコいい中央駅が出迎えてくれた。
レム・コールハース率いるOMAによる「クンストハル」
今回ロッテルダムを訪れた理由は、前回行けなかったレム・コールハース率いるOMAによる建築「クンストハル」を観るため。
クンストハルは、ロッテルダム中心部の公園の中に作られた美術館で、ユトレヒトにあるユトレヒト大学「エデュカトリウム」などと並んでコールハースの代表作の一つ。
モダニズムを批評する建築
ユトレヒト大学「エデュカトリウム」もそうだったけれど、このクンストハルも現代建築の中ですごく重要な建築。
クンストハルはモダニズム建築によくあるような四角い平面を持つ建築だけど、それを超えるような批評的な建築でもある。
ル・コルビュジエのドミノシステムに見られる水平スラブは、ここではスロープや客席のような斜めのスラブになって表れている。
それにある程度フレキシビリティを求められる美術館機能は、ミース・ファン・デル・ローエのユニバーサルスペースの概念を踏襲しつつもそれらを配置や動線など建築の操作によって、モダニズムとは違った価値を挿入しているようにも思える。
それらの批評性をミースの建築に見られるような石張りやコルビュジエの横連想窓などをファサードにオマージュとして表している。
コルビュジエの近代建築の5原則にもあるスロープだけれど、スラブと一体化することでスロープ自体を空間化している。
それを人の動線と車の動線などを内部と外部を通じて並行させたり、交差させたりすることで豊かな空間をモダニズム的な矩形の建築の中に作り出しているようだ。
斜めのスラブがもたらす豊かな空間
この日、シアタースペースではイベントがあるらしく行列ができていて、入るまでにちょっと時間がかかってしまった。
レセプションで入館料を払ったらとりあえず、ミュージアムカフェでコーヒーを飲むことにした。
斜めのスラブの下側にあたるカフェは、公園に向かって天井が徐々に高くなっていて、よりパースが効いて公園の緑に対して開放的に思える。
コーヒーを飲み終えて、クロークに荷物を預けて入場するけど、まずこのスペースがOMAらしいインダストリアルな感じでおもしろい。
この日イベントが開かれる大きなホールは、斜めのスラブがスロープと客席の機能を併せ持っていて、よりステージ側への求心力を高めている。
天井や斜めの柱などRC打放しをそのまま使っていて、インテリア的な要素を最小限に抑えているので建築的な操作がより効果的に思えてくるし、すごくカジュアルな印象を持たせる。
安価な素材を使いつつもシンプルな空間だけど、工業製品を使ったインテリアは独特。
客席と動線、または上階の展示スペースなどへ続く階段など公共施設内の同時多発的なアクティビティを見られる。
ほぼ建築的な素材のみで構成された階段。
ポリカーボネートで光だけを取り込む。
向こう側には彫刻が配置された屋上庭園的な空間。
展示室をつなぐ通路は、外部の動線と並行に配置されていて、一体化したかのような空間にも思える。
ホワイトキューブ的な展示スペース
石張りになっていた外観の内側は、展示スペースで環境をコントロールしやすいミースのユニバーサルスペース的な空間だ。
いくつか展示スペースがあるけれど、一番大きな展示室は次の展覧会の準備中だった。
小さい展示室は、ホワイトキューブ的な部屋になっている。
斜めの柱が剥き出しになっているが、それ以外は可動間仕切りで区切られたフレキシブルな空間だ。
この日は、ティエリー・ミュグレーと言うフランスのファッションデザイナーによる展覧会が開かれていた。
主に映像や舞台の衣装を紹介していておもしろかった。
レム・コールハース率いるOMAによる「クンストハル」は、ユトレヒト大学「エデュカトリウム」と同様にすごく批評性の高い建築でモダニズムから進化した現代建築としておもしろい。
そしてOMAらしい建築とインテリアの関係性も、工業デザインと一緒に発展したバウハウスを見た後だからこその違いも現代的だなぁと思えた。
Kunsthal Rotterdam – クンストハル・ロッテルダム芸術ホール
開館時間:11:00~17:00
休館日:月曜日
入館料:14€
URL : https://www.kunsthal.nl/
住所:Museumpark, Westzeedijk 341, 3015 AA Rotterdam, Netherland
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