ウォルター・グロピウスによるモダニズムやバウハウスにとって重要な建築「ファグス靴型工場」。
ベルリンで3泊した後はバスで長距離移動でニーダーザクセン州アルフェルトと言う小さな街へ向かう。
この場所にはモダニズムやバウハウスにとって重要な建築「ファグス靴型工場」がある。
ウォルター・グロピウスが手掛けた革新的な建築「ファグス靴型工場」
「ファグス靴型工場」は、独立したてのヴァルター・グロピウスが手掛けた建築で、ペーター・ベーレンスの事務所で共に働いていたアドルフ・マイヤーの協力を得て、1911年から1913年にほとんどの建物ができて、最終的には1925年に完成した。
もともとオーナーのカール・ベンシャイトは、別の建築家に設計を依頼して工事も進行中だったのだけど、途中で手紙をくれたヴァルター・グロピウスに建築家を変更して、バウハウスすらまだ誕生していない当時としては革新的な建築が完成した。
ファグス社は今も残るメーカーで、流石に当時のように木製の靴型ばかりを作るのではなく、プラスチック製の方が多くなってはいるけれど、世界遺産に登録された後も現役で稼働中。
天井の高くてかっこいい空間の社食でランチ
到着した時は既にお昼近く。
まずは工場の社食でランチすることになった。
中に入ると天井が高くていかにも工場という感じのインダストリアルなテイストの空間。
しかも2面をガラスのカーテンウォールで明るくて開放的。
ブッフェ形式のランチでメインになるハンバーグは結構美味しかった。
こんな社食なら社員も満足だと思う。
ファグス社の歴史と工場の建築を紹介する博物館
ランチの後は工場に併設したファグス社の歴史と工場の建築を紹介する博物館を見学。
グロピウスのドローイングや模型、写真などが展示されている。
ガラスのカーテンウォールが美しい
「バウハウス・デッサウ校舎」のようなガラスのカーテンウォールが連続するファサードは、すごく現代的でとても100年前のデザインとは思えない。
グロピウスはバウハウス・デッサウ校舎よりも約10年も前にこんなにモダンな建築を実現していたのは凄い。
出隅に柱や壁がない構造は、当時の周囲の人たちも不思議に思っていたようだ。
しかもこの美しさは理念的な部分だけでなく、建具の下部より上部の方を大きくしてパースを効かせてより矩形に見えるようなディテールになっている。
当時は鉄道で運んできた木材をそのまま工場に入れていたけれど、これが管理棟に当たる小屋で、工場本体とデザインが統一されていてかわいい。
モダニズムらしい合理的で機能的な建築
このファグス靴型工場は、グロピウスが以前働いていたペーター・ベーレンスの事務所が手掛けたAEGタービン工場をさらに発展させ、工場として機能的で革新的な建築になっている。
それまで労働者のことをあまり考えられていない工場建築が多い中で、合理的で機能的な工場でありながら、労働者が働きやすい環境を考えて作られている。
工場内が明るくなるようにガラス張りで労働環境をより良いものにしている。
中に入っても単に工場という感じではなく、建築の色々な要素がすごく綺麗に作られている。
階段室は、その最たる部分。
ガラスのカーテンウォールも内側から見てもすごく綺麗。
工場部分もカーテンウォールの壁面から遠い部分は、トップライトで採光していて明るい。
もちろんガラスのカーテンウォールが設置されている箇所は自然光によって気持ちいい明るさ。
ガラスのカーテンウォールは、採光にも優れているし、労働者が外を眺めることができることでリラックスして働くことができるんだと思う。
ヴァルター・グロピウスによる「ファグス靴型工場」は、同じくガラスのカーテンウォールを実装したバウハウス・デッサウ校舎よりも10年も以前の作品でありながら、既にモダニズム建築として完成度の高い建築だった。
この後、バウハウスがスタートしてヴァルター・グロピウスが初代校長になる訳だけど、グロピウスの凄さを十分に感じることができた。
UNESCO-Welterbe Fagus-Werk – ファグス靴型工場
開館時間:10:00~16:00
URL : https://www.fagus-werk.com
住所:Hannoversche Str. 58, 31061 Alfeld (Leine), Germany
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