八戸などの地方都市もスペイン・バスクから学べ!美食世界一の人口18万人のサン・セバスティアンの奇跡。
2年連続でスペイン・バスク地方を訪れた。
去年はバスクの中心地ビルバオに、今年はサン・セバスティアン、別名ドノスティアへ行って来たのだが、すごく小さな街で日本の地方都市のような感じだが、日本の地方都市と全然違って活気がスゴかった。
サン・セバスティアンは人口がたったの18万人でありながら、ミシュランの星付きのレストランが9店で人口1人あたりのミシュランの星の数が世界一、さらに世界トップ10のレストランのうち2つがある美食世界一の街だ。
日本では一般の人にはあまり知られていなくてコアなファンしか知らないが、今この小さな街に世界中から観光客が集まって来ている。
日本の地方都市の未来のヒントはバスク地方にある
写真はバルが所狭しと立ち並ぶ旧市街
太陽の国と言われるスペインにあって日照時間が最も少ない街の一つのサン・セバスティアンだが、綺麗な海があり新鮮な魚介類が採れる。
こういうところは僕の地元、八戸市とも街の人口や綺麗な海、美味しい食材があるところ、またそれ以外は何もないところなど、似たようなところがある気がした。
サン・セバスティアンが美食の街として世界に知られるようになったのはここ10年~15年の話で、直感だけれど工夫の仕方によっては八戸などの日本の地方都市が目指すべき未来像がここにはあると思った。
観光客も地元の人も分け隔てない扱い
日本の地方都市に行くと思うのは観光客が行くお店と地元民が行くお店が異なり、料理の種類から価格帯まで違って、観光客が行くお店は無駄に高かったり地元民が行くお店は中途半端でダサい場合が多い。
僕の地元の八戸でも美味しい食べ物は多いはずなのだが、お店選びで失敗することがある。
このサン・セバスティアンはミシュランの星付きレストランだけではなく、街中にバルが所狭しと立ち並び観光客はもちろん集まっているが、昼も夜も地元の人達も同じようにバルに集って食べて飲んでを楽しんでいる。
もちろん食べている名物ピンチョスも飲み物も同じで地元価格で、1つのバルでピンチョス1、2個とワイン1、2杯で5~7€くらいとリーズナブルでスペインバルらしく何軒もハシゴ楽しむことができる。
英語ではなくスペイン語でないと通じない場所もあるが、その分街に溶け込み地元民気分になれるし、バルのカウンターも観光客も地元の人もごっちゃになっている。
クリエイティビティを感じるピンチョス
もちろん地元の人に美味しいバルを教えてもらったのもあったのだけれど、サン・セバスティアンのバルはとにかく料理のレベルが高く、美味しくて見た目も今まで見たこともないピンチョスが並んでいる。
もちろんタパスやピンチョスはスペインの料理だし、その素地はもともとあったにしてもバルによってもピンチョスが全然違ったりするところはシェフがしっかりしている証拠だ。
世界を旅した料理人が切磋琢磨し合う
この街のシェフたちはバスクを離れ世界中を旅したり修行したりしたそうで、その後この街に戻り料理を追求したりバルを開いたりした。
そして、世界中で学んだことを持ち寄り、切磋琢磨し合い、バスクらしいサン・セバスティアンらしい新しい料理を追い求める運動「ヌエバ・コッシーナ」となり今や世界中を席巻している。
美味しい食材が採れるサン・セバスティアンで伝統的なバスク料理やタパスやピンチョスのベースがあって、その上に飽くなき探究心が生んだ技法が加わった。
レシピや料理技法をオープンソース化
最も驚くべきことはサン・セバスティアンの料理人たちがお互いにレシピや技法を教え合っていて、オープンソース*のような扱いになっている。
権威主義化されたフレンチや日本料理では多くの場合、何年も下積みを重ねて師匠の下で技を盗むとこしかできないが、みんなの料理のレベルが上がり、才能のある人は若くても活躍できる可能性がある。
また、みんなフラットな関係性なので新規的な試みを推し進めることができる。
*主にプログラムのソースコードなどを公開して皆で発展させることを狙うこと
写真は八戸の屋台街「みろく横丁」
バスクの街は他のヨーロッパの街と一緒で、集合住宅に住み、車主体ではなくトラムなどが発達して若い人が街に出やすく、街がコンパクトでそもそも街の構造が違うということがある。
マイホームやマイカー幻想を捨ててある程度集まって住んだり、レンタルサイクルやLRTやBRTで若い人が移動しやすくしたりと街の構造を改革する必要がある。
さらに東京などの主要都市とLCCで結べば、日本中や世界から観光客も来る。
サン・セバスティアンなので料理の話を書いているけれど、アートでもいいし温泉でも良くて、要は何でも一緒だ。
そのときにサン・セバスティアンのように、地元の人達がレベルの高くて独自性の高いコンテンツを提供できれば十分に世界で成功できるだろう。
権威主義や閉鎖的な風土を無視して若い人がお互いにフラットに繋がり、バスク地方に学びオープンに教え合ったり切磋琢磨できたりする環境が必要ということだ。
例えば、八戸には美味しい魚介類があるし、日本の中でも銭湯が多い街だからそういう独特のものを新しいレベルに昇華させたら面白い。
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