フランス・マルセイユのル・コルビュジエ設計の集合住宅「ユニテ・ダビタシオン」は群を抜く迫力だった。
フランスのマルセイユに来たのはもちろん、ル・コルビュジエ設計の集合住宅「ユニテ・ダビタシオン」を見るためだ。
旧港の近くにある観光案内所に行ってみると、日曜と月曜は内部の見学ができないというので火曜日に予約して出かけた。
カステラーヌ広場からバスに乗って15分くらいで「ユニテ・ダビタシオン」というバス停に着くから降りたら目の前にある。
「コルビュジエ」とか言っておくと英語が通じなくても行き方を教えてくれる。
巨大な船のような集合住宅「ユニテ・ダビタシオン」
バス停で降りて横断歩道を渡ると公園のように広い敷地の中にドーンと現れた「ユニテ・ダビタシオン」。
実際に見ると巨大で、コルビュジエは大きな船に見立てたのも納得だ。
やはりフェルミニのユニテよりもピロティの柱が丸みを帯びていて力強く迫力がある。
ブリーズ・ソレイユの側面がカラフルに塗られていてそれが集合している様が綺麗だ。
ピロティの高さの分、裏側が少し坂になっていて裏の方にエントランスがある。
裏の駐車場から。
ピロティの大きな柱は建築の柱というより瀬戸大橋の橋脚のような形で存在感がある。
住戸は近代集合住宅の原型
予約したガイドツアーはエントランスに集合する。
エントランスにはこんなデザインの開口があってみんな写真撮ってた。
エレベーターで上の階へ。
廊下は暗くいけれどカラフルな玄関のドアと証明が綺麗。
各住戸のエントランスにはレターボックスがせり出している。
見学する住戸の中へ入ると、メゾネットなので2階層分の大きい開口が開いていて明るいリビングの空間があった。
エントランス側を見るとこんな感じ。
キッチンはどこか現代に通じるところがある。
吹き抜け部分にある上層階部分で、開口部からの採光もあって非常に明るい。
上層階の通路部分は建具など随所にコルビュジエの工夫が読み取れられる。
リビングとは反対側(とは言っても住戸によりだけれど)の寝室からはコートダジュールの海が望める。
こういったメゾネットの発送は恐らく、北山恒氏など日本の集合住宅デザインへの発想へとつながっていると思うのは僕だけではないはず。
船上にいるような気持ち良さの屋上庭園
住戸を観た後はエレベーターで屋上に上がった。
言ってみれば巨大な船の甲板にあがってみたことになる。
小さな植栽も含めて全てが絵になる屋上だった。
教会の昨日も含めたホールが屋上にはある、それは南仏の光を受けて生き生きと使われているようで良さそう。
眩い南仏の日差しが気持ちいい屋上はいつまでも過ごせる心地よさを生み出す。
排煙塔が建築の直線と対比的に曲線できている。
ユニテの保育所とそのプールは建築の中にある建築のような気がして、これ自体が一つのコルビュジエの建築に思えてくる。
屋上庭園が現在も生き生きと使われているのはここが一番なんじゃないかと思う。
サヴォア邸なども現在も実際に使われているわけではない中でここは一番力がある場所だと思えた。
どこを撮ってもフォトジェニックで、広角レンズがあればもっといい写真が撮れるはずという場所がいっぱいだった。
「ユニテ・ダビタシオン」全体が一つの街になっている
屋上を一通り観たあとはそれ以外の共有スペースを見学したんだけど、これがまた面白い。
ファサードから見えたブリーズ・ソレイユがあった場所は2層吹き抜けの通路に一つの街のような機能が揃っていた。
インドのコルビュジエの建築と同じく南仏の強い日差しを和らげるためのブリーズ・ソレイユがここにも使われている。
ユニテ・ダビタシオンの中にはホテルもあって予約をすると1室に泊まることができる。
このオフィスは不動産屋さんらしくインテリアも凝っていて、こういうテナントがいっぱい入っている。
他にもカフェやアパレルショップなど少し今っぽい店舗もあった。
ここでフランスのル・コルビュジエの建築を巡る旅が終わったわけだが、とりわけこの「ユニテ・ダビタシオン」の迫力はすごかった。
同じツアーで訪れていた日本人夫婦と会話したときも「いくら撮っても撮りたらない」と話していて、本当にそう思った。
日本では遠い世界のように教科書でモダニズムのことについて学ぶが、ここにはその建築が今も使われていて自分自身もユーザーとしてそれに関わって、その建築の強度(力学ではなく存在としての)があったことに驚いた。
インドのコルビュジエ建築も同じような強度を感じたし、この歴史的な建築も共通したものを持っていることと、そこに生活する人々の豊かさみたいなものを感じることができた。
是非マルセイユに来たらこのル・コルビュジエが残したものを感じて欲しいと思う。
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