ル・コルビュジエが自身と妻のために建てた「カップ・マルタンの休暇小屋(キャバノン)」に行ってきた!
ガイドツアーでアイリーン・グレイが設計した自身の別荘「ヴィラE-1027」を観た後は、そのまま同じ場所に建つル・コルビュジエの建築を回る。
ヴィラE-1027から急な階段を登って行く。
振り向くとリビエラ海岸の綺麗な海が見える。
急な階段の途中にはル・コルビュジエが食堂代わりに通った「ひとで軒」がある。
この裏側には「カップ・マルタンの休暇小屋(キャバノン)」があって、奥の扉でつながっている。
リビエラ海岸とE-1027を望む宿泊施設「ユニテ・ド・キャンピング」
カップ・マルタンの休暇小屋に行く前にル・コルビュジエによる「ユニテ・ド・キャンピング」を見学。
これは「ひとで軒」のオーナーのためにル・コルビュジエがデザインして、その設計料としてキャバノンの土地を譲り受けたらしい。
5部屋の小さな長屋のような建築でコルビュジエらしいカラフルな色使いでかわいい。
食堂はひとで軒で済ませられるし、ホントに小さい空間にホントに寝るだけの機能しかないのだけれど、モデュロールでできた空間は機能的なだけでなく小さい驚きと豊かさがある。
インテリアもところどころカラフルに塗装してあるだけの質素な作り方なのだけど、最小限空間を最大限工夫して設計されていて、現代で言うのところのミニマリストのための空間ができあがっている。
海側に開いた窓からはリビエラ海岸とE-1027を望む綺麗な風景を観られる。
「ユニテ・ド・キャンピング」の側面の壁にはモデュロールの図が描かれていて、綺麗な風景の一部になっていた。
ル・コルビュジエが妻と自身のためにデザインした「カップ・マルタンの休暇小屋(キャバノン)」
「ユニテ・ド・キャンピング」を観た後は、遂に「カップ・マルタンの休暇小屋」通称「キャバノン」を案内してもらう。
4,5年前に来たら休館日で2年前に再訪しようと思ったら改修中で、3度目のチャレンジでやっと観ることができた。
外観はただの丸太小屋で隣接する写真奥にある「ひとで軒」と扉一枚でつながっている。
コルビュジエの終の住処にもなったキャバノンは、上野にある国立西洋美術館や後期の傑作「ラ・トゥーレット修道院」「ロンシャンの礼拝堂」、パリ郊外にある「サヴォア邸」などと一緒に世界遺産にも登録されている。
今まで本などで読んで来たし、図面や写真も散々観て来たけれど、訪れて観るとすごく密度の高い建築だと思う。
最小限空間としてデザインされたキャバノンだけれど、宗教建築や公共建築など他の巨大な建築と同じくそれ以上にそれ感じた。
すごく小さい空間だから機能的に作られていることはもちろんだけど、モデュロールによってデザインされた空間は窓や壁などの要素がしっかりと意味を持って成立していることがわかった。
本当に質素な小屋なのだけれど、コート・ダ・ジュールの綺麗な環境もあってか、ここで暮らしたらすごく楽しそうにも思えてくる。
小さな窓から顔を出すとこの風景。
コルビュジエも毎朝この窓から顔を出して外の様子を眺めていたらしい。
コルビュジエの小さなアトリエ
キャバノンの隣には物置小屋のような白と緑の小屋が建っているけれど、こっちはコルビュジエの小さなアトリエだった建築だ。
枕木の上にただポツッと置いただけの小屋だけれど、少し可愛さがある。
中は大きめな作業台が置いてあるだけで、リビエラ海岸を望む小さな窓が開けられている。
ル・コルビュジエの終の住処
海を愛したル・コルビュジエは、妻が亡くなった後もこの地を訪れて「カップ・マルタンの休暇小屋」と言われるキャバノンで過ごした。
77歳のときにすぐ近くで海水浴中に心臓発作で亡くなったので、このキャバノンが終の住処となった。
ル・コルビュジエは、キャバノンを含めてこの海を眺める高台に自身が妻イヴォンヌのために作ったお墓に2人で眠っている。
ル・コルビュジエが自身と妻のために建てた「カップ・マルタンの休暇小屋(キャバノン)」は、最小限の空間に密度の高いデザインがあって、すごく感動した。
夏に訪れて改めてコート・ダ・ジュールの海の美しさを再認識したけれど、コルビュジエが惚れ込むこともすごく良くわかった。
3度も訪れることになってしまったけれど、何度でも訪れたい綺麗な海と建築がそこにあった。
Cabanon – カップ・マルタンの休暇小屋(キャバノン)
開館時間:9:00~17:00
URL : http://capmoderne.com
住所:06190 Roquebrune-Cap-Martin, France
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