巨匠ル・コルビュジエも嫉妬したアイリーン・グレイ自身の別荘「ヴィラE-1027」を訪ねる。
ノルウェーのオスロからポーランドのワルシャワを経由して、南フランスはコート・ダ・ジュールのニースに到着。

北欧から一気に南欧と言われる南フランスへ到着したので、もう夏って感じ。
もう3度目のニースから電車に乗ってカップ・マルタンを目指す。

電車で夏のコート・ダ・ジュールを走りモナコの隣のカップ・マルタンに到着すると綺麗なビーチが出迎えてくれた。
南仏は何度か訪れているけど夏は初めてで、すごく気持ちがいい。
アイリーン・グレイがデザインした自身の別荘「ヴィラE-1027」
またまたカップ・マルタンに来たのはもちろんル・コルビュジエの「カップ・マルタンの休暇小屋」のリベンジだけど、去年改修されてオープンしたアイリーン・グレイがデザインした自身の別荘「ヴィラE-1027」も見られるから。
2年前に観た映画「ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ」ですごく印象的だったのですごく興味があった。
映画自体はアイリーン・グレイの才能自体も驚くべきものだと言うことがわかるけど、当時のフランスでの女性の社会的地位やデザイン業界のことなどすごく興味深い描写が多かった。
巨匠ル・コルビュジエも嫉妬したアイリーン・グレイのデザイン

ガイドツアーに参加しないと観られない「ヴィラE-1027」は、もちろん予約してたんだけど、ニースの駅でバタついたこともあって現地到着が5分遅れになってしまった。
ガイドさんに「今始まるところだから良かった」と優しく待ってくれた。

E-1027は2階建なのだけど、斜面に建てられているので住宅としての機能が2階に集められている。

割と現代的で外からもアクセス可能なキッチン。

いよいよリビングに入ると、映画でも観たモダンなデザインが現れる。
アートやデザインだけでなく漆工芸も学んでいて高い評価を得ていたアイリーン・グレイの才能には巨匠ル・コルビュジエも嫉妬したと言われている。
実際コルビュジエは、E-1027を1度訪れると、この場所と一緒にこの建築をすごく気に入って近くにカップ。マルタンの休暇小屋を作ったらしい。
映画ではだいぶコルビュジエがグレイやこの建築に執拗につきまとうような描写があるけれど、実際のところはどうなんだろう。
過ごしやすくて建築に馴染むインテリア

あくまで別邸なので寛げるスポットがいっぱいですごく過ごしやすい空間づくりがされている。
家具などもアイリーン・グレイによるデザインでかっこいい。

デイベッドのところには有名なサイドテーブルもあって映画でのワンシーンを思い出す。
中央にはトランザット・チェア。

コルビュジエが建築自体に重きを置いてどこかそれに合わせたインテリアを作っているように思うけれど、E-1027では建築もインテリアも有機的に結びついてデザインされているような感じがした。
間仕切りのカーブを描く造形や色使いが落ち着いた感じでこの場所に馴染んでいる。
映画の中ではコルビュジエの「住宅は住むための機械である」という言葉に対して「住宅は機械じゃない」と批判する様子が描かれているけれど、その言葉を体現するような空間だ。

入って左手の壁面には映画でも出て来たル・コルビュジエの絵が描かれている。

海岸線を望む海側はガラス張りで細いラインの建具ですごく柔らかい女性らしさを感じる。

窓の脇には映画の冒頭のオークションのシーンでも登場したビベンダム・チェアが鎮座。
このビベンダム・チェアやトランザット・チェア、サイドテーブルはMoMA(ニューヨーク近代美術館)のパーマネントコレクションにも加えられている。

テラスの外に出ると地中海の乾いた風が吹いて、暑いのにすごく心地いい。
日よけが効果的に使われていて実用性がある。

テラスからは綺麗な海と向こう側にモナコが見える。

リビング脇のベッドルームやサニタリーはコンパクトにまとめられているけれど、実用性もあるし女性が好きなデザインだと思った。

モダンなデザインは今でもかっこいいと感じる。

バスルームもホテルライクでかっこいい。
コート・ダ・ジュールと一体になるような建築

E-1027は実際すぐそばなんだけど、下に降りると海がより近く感じる。

映画の中でもお披露目パーティーが行われた庭もすごく居心地が良さそう。

ファサードを見ると白い建築に横連想窓やピロティなどコルビュジエのような近代主義的なデザイン。
それでもあのインテリアが馴染むのがアイリーン・グレイのデザインなんだと思う。

幾何学でミニマル、モダニズムのお手本のような建築だ。

上にはル・コルビュジエによるユニテ・ド・キャンピングが見える。

ツアーの最後は、強い日差しを避けてピロティでみんなでガイドさんと感想を話す。
アイリーン・グレイによる自身の別邸「ヴィラE-1027」は、教科書的なモダニズム建築に有機的に結びついたインテリアや家具が居心地の良い空間を作っていて、グレイの才能を体験できる建築だった。
ツアーはこの後、ル・コルビュジエによるユニテ・ド・キャンピング、カップ・マルタンの休暇小屋(キャバノン)と続く。
La Villa E-1027 d’Eileen Gray – アイリーン・グレイ – ヴィラE-1027
開館時間:10:00~17:00
休館日:月曜日
URL : https://capmoderne.com/fr/lieu/la-villa-e-1027/
住所:E-1027 Sentier Massolin, 06190 Roquebrune-Cap-Martin, France












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