【ダークツーリズム】世界に向けて人類の平和を願い訴える「広島平和記念公園」を訪ねる。
「マリンワールド海の中道」で水族館鑑賞した後は、博多駅から新幹線で広島県の福山まで移動した。
仕事の話をして、ご飯を食べしつつ広島市まで送ってもらって一泊。
高校の修学旅行以来行ってないので、久しぶりに行きたかった「広島平和記念公園」に行って来た。
ダークツーリズムとしてはカンボジア・プノンペン郊外の「キリングフィールド」観て以来なので今月2ヶ所目。
丹下健三による広島平和記念公園
世界に向けて人類の平和を願い訴えることと、過去の過ちを繰り返さないことを目的に作られた広島平和記念公園は、コンペにより当選した丹下健三によるデザイン。
現在は穏やかな時間が流れる公園になっていて、鎮魂の場として良い雰囲気になっている。
慰霊碑は最初はイサム・ノグチによるデザインが採用されるハズだったが、岸田日出刀などの批判にあって実現せず。
(平和大通りに架かる平和大橋はイサム・ノグチによるデザイン)
丹下健三によるデザインになった慰霊碑はHPシェルのトンネル状の形になり、その中を覗くと「安らかに眠って下さい 過ちは 繰返しませぬから」と刻まれた石盤と向こう側には原爆ドームが見える。
慰霊碑と原爆ドームの間には水盤が配置され、遮るものを通さず、軸線が意識されている。
公園内にはこの原爆による白血病で亡くなった子供たちの霊を慰める「原爆の子の像」や、反核と恒久平和を願って設置された「平和の鐘」など様々なモニュメントがある。
「原爆の子の像」には「これはぼくらの叫びです これは私たちの祈りです 世界に平和をきずくための」と刻まれている。
広島平和記念公園
URL : http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/1483699383190/index.html
住所:広島県広島市中区中島町1丁目1
広島平和記念資料館
平和記念公園の中核を担うのは、丹下健三による「広島平和記念資料館」。
残念ながら本館は工事中だった。
資料館の中に入る。
ここは原爆投下前の広島市内の様子。
この人達はどうなったのだろう…
その人たちの姿が消えた原爆投下後の広島。
一瞬にして焼け野原になった広島の様子は胸が張り裂けそうになる。
核兵器の開発から、核実験。そして広島と長崎での原爆投下とその後の歴史を解説した展示。
現在は本館が工事中のため、少し狭いところにギュッと集まっているのだが、それ以上に濃い内容。
高校生の時以上に色々と知ってしまっているので、あらゆる場所で立ち止まってしまう。
現実の写真や資料も見ていて辛いところがあるけれど、こういった詩や絵画にも胸が締め付けられる。
日常が一瞬でなくなり、大量殺戮された人たちはちゃんと供養されたのだろうか。
写真や資料でどれほど悲惨な状況だったのかがわかるが、現実に目にした人達はもっと悲しかったのだろう。
「キリングフィールド」の時もそう思ったのだが、こんな酷い殺し方をしなくてもいいじゃないかと憤りを隠せない。
広島の平和記念資料館にある「平和監視時計」は、絶対にリセットさせてはいけない時計だ。
広島への原爆投下からの日数と世界中で行われる最後の核実験からの日数が刻まれている。
最後の核実験からの日数は、北朝鮮の核実験によってこの日の111日前にリセットされていた。
悲しさと憤りを覚える内容の展示ばかりだが、例えば当時現職の大統領だったバラク・オバマが広島を訪れたのは前進だと思う。
ほんの少しだが世界平和へとつながる希望だ。
広島平和記念資料館
開館時間:8:30~18:00
URL : http://hpmmuseum.jp
住所:広島県広島市中区中島町1−2
広島国際会議場
「広島平和記念資料館」と対になった建築は広島国際会議場。
以前は全く異なる建物の外観だったが、1989年に丹下健三のコンペ案に近い形で再建された。
広島国際会議場
URL : http://www.pcf.city.hiroshima.jp/icch/
住所:広島県広島市中区中島町1−5
国立広島原爆死没者追悼平和祈念館
公園内に埋没するように建てられているのは、これもまた丹下健三による設計の「国立広島原爆死没者追悼平和祈念館」。
被爆者を追悼し、世界平和を願う目的で広島と長崎に作られた。
地上には水を求めて亡くなった原爆死没者のための水と被爆した瓦礫を「8時15分のモニュメント」として表現。
階段で地下の入り口から中へ入る。
現在から過去に時間を遡るように反時計回りに進むスロープを降りていくと、地上の「8時15分のモニュメント」の地下に、「平和祈念・死没者追悼空間」がある。
爆心地から見た広島市内の様子を、約14万人に及ぶ死没者の数と同数のタイルで表現している。
原爆死没者の名前と遺影を公開。
こうして名前と遺影を認識できることが14万人という数字の悲惨さを伝えるだけでなく、一人一人をしっかりと追悼できているような気がして少しだけホッとした。
国立広島原爆死没者追悼平和祈念館では、10万編を超える被爆体験記があって、そのいくつかがスクリーンで映像として再現されている。
観ていると涙が溢れてくる…
国立広島原爆死没者追悼平和祈念館
開館時間:8:30~18:00
URL : http://www.hiro-tsuitokinenkan.go.jp
住所:広島県広島市中区中島町1−6
原爆ドーム
ユネスコの世界遺産にも登録されている原爆ドーム。
元は広島県立商品陳列所という施設で、原爆により中央のドーム部分と枠組みと外壁だけが残った。
焼け野原になった広島市内の中で唯一、原爆投下の悲惨さをリアルに伝える建造物だ。
原爆ドーム
URL : http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/dome/index.html
住所:広島県広島市中区大手町1丁目1−10
「広島平和記念公園」とその悲惨さにやはり気が滅入るところが多い。
こういった鎮魂の場が広島の中心地にあるから、少しでも忘れられないこととして刻まれるんだと思う。
最近は海外からの観光客も多いのだけど、どう感じたのかがすごく気になった。
特にアメリカからの旅行者はどう感じるのだろうか?
約70年前に第二次世界大戦があって、この広島と長崎への原爆投下があって戦争が終わった。
だけど、例えばクメール・ルージュによるカンボジアの大量殺戮があったのが第二次世界大戦の約25年後。
その後も世界中で多くの戦争があって、今も続いていいて、結局人間は何も学ばないことが凄く怖く思えた。
慰霊碑に書かれた言葉「安らかに眠って下さい 過ちは 繰返しませぬから」の過ちを繰返さないの主語は、僕たち一人一人だと自覚するべきなんだろうな。
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