仙台・定禅寺通りの並木の風景を映し出す「せんだいメディアテーク」は各階を貫く不定形なチューブが特徴的。
仙台の建築と言えば2001年に開館した伊東豊雄氏設計の「せんだいメディアテーク」だろう。
磯崎新が審査委員長を務めたコンペで、各階の高さの異なる床スラブとそれを貫く13本のチューブ、ガラスのスクリーンが特徴の伊東豊雄氏の案が1等となり、世界に知られることになった。
仙台に来る度に来ているけど、何度訪れても飽きない建築で、杜の都と言われる仙台を表したような定禅寺通りに面している。
定禅寺通りの樹々を映し出すファサード
ガラスのカーテンウォールのファサードが定禅寺通りの樹々を映し出す。
もともとガラスのファサードだということもあるけど、街路樹が建築のヴォリュームの印象を和らげていて場所と建築が調和している。
定禅寺通りから続く広場のような1階ホール
柱のチューブが定禅寺通りの街路樹からの連続性を感じさせ、天井が高いこともあり街の一部の広場のような雰囲気だ。
この日は祝日だからか、1階ホールでイベントも開かれていて大勢の人々で賑わっていた。
各階ごとに天井の高さだけでなく家具、雰囲気が異なる
2階の図書館は天井が低めで落ち着いた感じ。
3階の図書館は天井が高く、4階にあたるスペースが奥側にある。
本棚と赤で統一された家具で空間が作られている。
定禅寺通り側の開口部付近は柱であるチューブを取り囲むようにカーブを描いた家具が配置してあって、日当りも良くて居心地良さそう。
各階ごとに天井高に変化があるだけでなく、異なるインテリアデザインが施されていて、その場に合わせた家具が配置されている。
ギャラリースペースのある5,6階はホワイエのスペースが広く取られ、チューブも下の階とも配置が変化していることが分かる。
7階はスタジオやビデオライブラリになっていて、当時担当した妹島和世氏らしいデザインの家具が配置してある。
この7階のスペースは2011年3月11日の東日本大震災で天井が崩れ落ちるなど大きなダメージを負っていて、天井はその前とは異なっている。
構造体でもある各階を貫くうねるチューブが特徴
各階を貫く構造体でもあるチューブの幾つかはエレベーターや階段など垂直移動のための動線が収められている。
チューブ越しに他の階の様子が垣間見える。
チューブ自体が柱と思うと、その存在感が強固な柱としてではなく軽い存在に見えてくるので不思議な感じがしてくる。
エレベーター内部から上を見上げるとチューブから採光もしていることがわかる。
せんだいメディアテーク
開館時間 : 9:00~22:00
休館日 : 第4木曜日/年末年始
URL : http://www.smt.jp
住所 : 宮城県仙台市 青葉区春日町2−1
せんだいメディアテークはミース・ファン・デル・ローエの提唱したユニヴァーサル・スペースやル・コルビュジエの提唱したドミノシステムによって作られた均質な空間を乗り越える新しい建築の在り方を提案した。
仙台に行く度に訪れているがその度に建築的な思想と実現した建築が両立して実現しているように思える。
もちろん理論的な背景を知らずとも良い建築だと思えるはずで、世界各国から建築フリークが訪れている。
伊東豊雄の「せんだいメディアテーク」がある仙台と言われて、仙台の1つの顔になっているそうだ。
先日のル・コルビュジエの国立西洋美術館の世界遺産登録とともに日本でも近代・現代建築の注目度が上がってくれれば「せんだいメディアテーク」の良さも国内に広まってくれると思う。
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