ストックホルム郊外のグンナール・アスプルンドによる「森の墓地・スクーグスチルコゴーデン」
フィンランドのヘルシンキから「タリンクシリヤライン」で北欧2カ国目スウェーデンの首都ストックホルムに到着。
ストックホルムの中央駅付近は、近代的なビルばかりでどこかヘルシンキとも違う雰囲気だった。
中央駅近くのカフェで仕事して、昼頃にメトロで郊外に向かった。
グンナール・アスプルンドの「森の墓地・スクーグスチルコゴーデン」
同名の駅のすぐ目の前にあるのは、「スクーグスチルコゴーデン」という「森の墓地」と言われる墓地。
「スクーグスチルコゴーデン」は、フィンランドのアルヴァ・アアルトやデンマークのアルネ・ヤコブセンなどの北欧モダニズムの建築家に影響を与えたスウェーデンの巨匠建築家グンナール・アスプルンドによる建築とランドスケープで構成された墓地だ。
アスプルンドと言えば日本でも販売されている家具ブランドで有名だけれど、多分由来はグンナール・アスプルンドだと思う。
アスプルンドは、学生時代からの友人のシーグルド・レーヴェレンツと一緒にコンペに応募し、デザインが決まった。
「森の墓地」と言われるだけあって、森に囲まれた中に作られた墓地でむしろ森と一体化するようにランドスケープが作られている。
中央には大きく開けた芝生が広がっていて、中央になだらかな坂の「瞑想の丘」がある。
丘の上には、休憩できるようなスペースがあって、この墓地全体を眺めることができる。
「生・死・生」のシンボルとしての十字架
この芝生の一角には「森の墓地」の象徴的な十字架が佇んでいる。
巨大な十字架は、花崗岩でできていて、パースが効いても直線に見えるように少し太さが異なる線で描かれている。
火葬場の脇の墓地にはグンナール・アスプルンドの墓もある。
豪華な墓地ではないが、独特の雰囲気がある。
近代建築にも通じる「信仰の礼拝堂」と「森の火葬場」
十字架の脇には、グンナール・アスプルンドによる設計の「信仰の礼拝堂」と「森の火葬場」がある。
モダニズムが生まれる頃の建築で、それまでの古典的な建築の要素もありながら合理的なモダニズムに通じる建築だ。
水平垂直を使いながらも森との調和を取るような外装は、新しさと同時に神聖さや鎮魂のための静寂を感じさせてくれる。
礼拝堂の中は、予約したらガイドツアーに参加できるらしいが、ここを訪れてから知った…
1940年に完成したのにも関わらず、モダニズム以前のものとも違うが、モダニズム的な機能性や合理性だけのものでもない建築であることがわかる。
少し村野藤吾の建築みたいな雰囲気を感じたのは自分だけかな。
新しさと古さを同時に感じる。
死者は森へ還るという死生観を体現
「スクーグスチルコゴーデン」の中央には「七井戸の小道」と言う888メートルと長い道があり、これが「復活の礼拝堂」へと続いている。
その道を歩くと死者は森へ還るというスウェーデン独自の死生観を体現できるようだ。
これはレーヴェレンツが設計した「復活の礼拝堂」で、パンフレットの写真を見ると良さげなんだけど、中には入れず…
その脇には火葬の施設もあった。
ビジターセンターは、最近の建物らしいけれど、結構かわいい感じで好き。
おそらく杉材でできた内部は、しっかりとデザインされているし落ち着く空間だった。
森に還るような雰囲気の「森の礼拝堂」
ひっそりと姿を現す「森の礼拝堂」は、森の墓地のランドスケープや森に還るような雰囲気を漂わせていた。
モダンさもありながら、どこかかわいいのでお気に入り。
グンナール・アスプルンドによる「スクーグスチルコゴーデン」は、スウェーデンの「死者は森へ還る」という死生観を体現できるランドスケープと建築だった。
森の中に神聖な鎮魂の場所が作られ「森の墓地」と言われるのがすごくよくわかる。
とにかく広いのでまずは墓地内を走るバスでビジターセンターに行くのがおすすめ。
Skogskyrkogården – スクーグスチルコゴーデン
開館時間:11:00~16:00
住所:Sockenvägen, Stockholm, Sweden
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