人類の負の遺産。歴史的な悲劇の地を巡る旅「ダークツーリズム」のおすすめスポット8選。
いつも意識してダークツーリズム的なスポットに行っているわけではないんだけど、訪れてみると唐突に考えさせられる。
去年は沖縄でなんとなく訪れた平和記念公園やマドリードのソフィア王立芸術センターで観たピカソの絵画「ゲルニカ」がそうだった。
今年2015年は終戦から70年ということもあり日本にとっては節目の年で、ダークツーリズムに出かけてみてもよいかも。
行ったことがある場所も含めて紹介。
広島・原爆ドームと平和記念公園
Photo by tosimisi.
Photo by tosimisi.
高校のときに修学旅行で行った、広島の原爆ドームと平和記念公園や資料館は冒頭にも書いた通り終戦70周年の今年に最も行くべきところだと思う。
資料館で観た原爆後の写真や映像はトラウマになるほどの内容だったが、その分日本人なら見ておくべきものだ。
平和記念公園や資料館は日本におけるモダニズムの巨匠、故・丹下健三が設計していて、鎮魂の場としての美しさもある。
沖縄・ひめゆりの塔と平和記念公園
去年の9月に沖縄を回ったときにひめゆりの塔と平和記念公園に行った。
沖縄の青い海や空、ランドスケープ自体が美しく、悲劇的な場所であることの対比が「こんな美しい場所であんなに悲劇的なことがあったのか」と考えさせられる。
公園自体は広いし、ひめゆりの塔のような祈念碑は数多く沖縄に存在するから丸1日取ってもいいくらい。
ニューヨーク・グラウンドゼロ
Photo by ERIC SALARD.
僕は2007年にニューヨーク旅行のときに行ったのでグラウンドゼロ自体には何もなくて、脇の資料館だけ観てきた。
現在はマスタープランをダニエル・リベスキンドが担当し、フリーダムタワーなど設計の変更が多かったが、建設中も含めて世界的な建築家が設計するビルが立ち並ぶ。
ニューヨークの街に自然に溶け込む鎮魂の場としての役割を担うことになるので改めて見に行きたいと思う。
ポーランド・アウシュビッツ強制収容所
Photo by Milan Boers.
第二次世界大戦中にアドルフ・ヒトラー率いるナチス・ドイツによって作られたホロコースト、ユダヤ人をはじめとする人種差別的な抑圧政策のための強制収容所。
終戦70周年の今年まだ100年も経っていない時代に、このような悲劇的なことを人間が同じ人間に対して行っていた現実を見るために見に行く必要があると思う。
ウクライナ・チェルノブイリ原子力発電所
参照 : Wikimedia.
旧ソビエト連邦時代、1986年に4号炉が爆発する事故が発生したチェルノブイリ原子力発電所は、現在ゾーンと呼ばれる立ち入り禁止区域だけでなく原発の内部や石棺の近くまで行くことができる。
3.11による福島原発事故を起こした日本に住む者だからこそ見に行く価値があると思う。
思想家東浩紀氏が主宰の株式会社ゲンロンによるチェルノブイリツアーなどが行われているので、それを利用してみるとより勉強になりそう。
カンボジア・トゥール・スレン虐殺博物館
参照 : Wikimedia.
1970年代後半、独裁者ポル・ポトの政党クメール・ルージュによって設置された2万人が処刑されたとされているS21 (トゥール・スレン)と言われる収容所で、現在は当時をできる限り残した博物館となっている。
東南アジアの中でも貧しい国家となったカンボジアは近年急速に発展してきているが、こういった施設が今後どのように継承されていくか注目する意味でも今のうちに観にいくべきだと思う。
スペイン・ゲルニカ(街と絵画)
参照 : Wikipedia
スペイン・マドリードのソフィア王立芸術センターで巨匠ピカソの名画「ゲルニカ」の実物を観たのだけれども、あまり知らなかったスペイン内戦のことを知りたいと思うきっかけになった。
スペイン北部の街ゲルニカにも博物館やなぜゲルニカが無差別空爆の舞台になったのかわかるモニュメントがあるらしい。
僕が見たスペインは人々が楽しく暮らす豊かな街だったが、そう遠くない昔に国内で殺し合っていたとは信じ難いのでので、次回スペインに行くときにはゲルニカの街にも訪れてみたい。
北アイルランド・タイタニック博物館
Photo by kristofarndt.
1912年に起きた英豪華客船タイタニック号の沈没事故の資料を展示する博物館「タイタニック・ベルファスト」。
最新の音響技術やCGを駆使してタイタニック号の悲劇を紹介している。
「ダークツーリズム」は日本では最近聞くようになった言葉だが、世界では観光業の最先端なのだとか。
「福島第一原発観光地化計画」を提唱している思想家東浩紀氏は、「フクシマを見ること、カッコいいことに変える。できるだけ多くの人々に、フクシマを『見たい』と思わせる」と言っていて、人間というのは忘れていく生き物で、そうしないと誰も見向きもされなくなって子孫に継承されないということを主張している。
ここに挙げた幾つかのスポットは芸術性や公共性、エンターテインメント性によってそこに行きたいと思わせる。
終戦70周年だからこそ、「ダークツーリズム」に行ってみて感じて欲しい。
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