未来の「家」を考える、原寸大に再現された空間がおもしろい「HOUSE VISION 2」に行って来た。
2013年に開催されてスゴく興味深かった「HOUSE VISION」が、今年再び「HOUSE VISION 2」として開催されているので行って来た。
今回も12種類の「家」が原寸大に再現されすごくおもしろかったので、全部載せたいけど写真が多すぎるので、その中から抜粋して幾つか紹介したい。
木のブリッジが「家」をつなぐ会場構成は隈研吾
会場構成は隈研吾氏のデザインで、会場全体をつなぐ木のブリッジは再利用を前提に、10.5cm各の角材を無加工で使用している。
角材で組んだゲートが入り口になっていて来場者を出迎える。
ブックショップやセミナースペースも角材で緩やかに仕切られていて、自然光が通るようにデザインされていて居心地が良い。
吉野杉がふんだんに使用された長谷川豪がAirbnbと共に考えた「吉野杉の家」
長谷川豪氏が提案するのは、吉野杉を使い、吉野杉の産地である吉野町からトレーラーで運ばれたAirbnbで使われることを前提とした、地域コミュニティがホストになりゲストを迎える家だ。
地域コミュニティに開かれた居心地の良さそうな縁側がある。
細長い空間には床壁、天井に吉野杉がふんだんに使われていて木の香りが漂う。
縁側の方に大きく開かれているリビングは、地域コミュニティがゲストと自然な交流ができるように気持ちいい空間になっている。
家具や置いてある道具も木でできている。
2階は吉野檜の香りのするゲストのプライベート空間で、切妻屋根がそのまま空間に活かされ、安心感が感じられる。
三角の開口から柔らかい光が入りトンネルのようでもあり、吉野町の眺望が期待できそう。
VRを使った展示が楽しい永山祐子が提案する「の家」
永山祐子氏がPanasonicと共に提案する「の家」はVRを使ったプレゼンテーションがおもしろかった。
反面、建築的な新しさみたいなものは感じられなくて少し残念。
アトリエ・ワンが提案する棚田の農業と共存する「棚田オフィス」
アトリエ・ワンが提案するのは農業地域に、農地を見晴らしながらインターネットを使い現代的な仕事をする人達のためのオフィスがある「棚田オフィス」だ。
アトリエ・ワンと無印良品のコラボレーションで、無印良品のシンプルさをアトリエ・ワンのデザインでうまく引き出していると思った。
ここが、オフィスとして機能する2階のスペース。
跳ね上げの戸が上がると周囲の眺望だけでなく、風が通って空気感が感じられるようでいい感じだ。
会場内に2棟建っていて細かいデザインが異なる。
三越と伊勢丹のセンスがマッチする谷尻誠・吉田愛が提案する「誘導の家」
ひと際道具などのセンスが良い家は三越と伊勢丹のブースで、谷尻誠氏と吉田愛氏が提案する空間だ。
三越と伊勢丹という百貨店ブランドが調達した高品質な商品に合わせてデザインされた空間がかっこいい。
和室や和のテイストを取り入れたバスルームはホテルさながら。
小さい賃貸空間が連なったダイナミックな建築は藤本壮介の「賃貸空間タワー」
遠くからでもひと際目立つ建物は藤本壮介氏の「賃貸住宅タワー」で、個人の空間と共用の空間に分解してくみ上げた建築だ。
タワーはおおよそ2つに分かれていて、空中の渡り廊下で繋がっていて立体的にシークエンスを楽しめるので楽しい。
各部屋がバラバラに配置されていて複雑な空間が楽しめる。
ここはプライベートなベッドルーム。
ここは共用のダイニングキッチン。
暑い中一休みができる西畠清順と隈研吾が提案する市松の「足水」
今日はすごく暑いこともあって、冷たい水に足を付けてリラックスできるこの足湯ならぬ足水には助けられた。
市松模様に足水や緑が配置してある。
窓が進化して建築のような家具のようなスケールになった五十嵐淳と藤森泰司による「内と外の間/家具と部屋の間」
建築家の五十嵐淳氏と家具デザイナーの藤森泰司が提案するのは、建築には必ずある「窓」を拡張した住宅だ。
絵画のように並んだ「窓」には建築と家具の中間のような空間が奥行きを作っている。
窓から飛び出したテーブルは、そのまま窓の向こう側の床や椅子のようになっていておもしろい。
テーブルだったものが窓の向こう側に空間を作り出している。
窓にインストールされたソファといった感じの空間は洞窟のような感じで居心地も良い。
TOTOとYKK APとのコラボレーションだが、トイレの存在感はないし、窓などにガラスも入っていない。
つまり、協賛企業の商品が全然使われていない。
トンデモな提案に見えると思うが、確かにそこには建築の楽しみがあった。
多彩なゲストの対談が楽しめる毎日開催されるトークセッション
今日は五十嵐淳氏や藤森泰司氏がゲストのトークセッションが開かれていて、両氏の個性的な発言で会場が盛り上がっていた。
充実した展示内容とトークセッションで満足して帰路についた。
前回2013年ももちろんおもしろかったのだけれど、3年して選出された建築家が異なることや、ARやVRといったテクノロジーを駆使した展示内容が幾つかあって時代の変化を感じた。
ただ、今のところはかもしれないが、テクノロジーを駆使するよりも建築の豊かさみたいなものが感じられるものの方がおもしろく感じられて、普遍的な何かがあるような気がした。
まだ会期もあるので是非訪れて体験して欲しいと思う。
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